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イギリス/大学院留学/LSE/Social Policy

「大学院留学の間違い」の間違い

やっとこの地獄のような1年が終わろうとしています。ただでさえジジくさいと言われているのに5歳くらい老けた気がする。ちよわかまる(24)です。

ふわっと大学院留学を考えている方々、
知らないと入学後絶対後悔する「大学院留学8つの間違い」
読んだことあります?
まあ、いろいろな情報が飛び交って、留学サポートビジネスもはびこっていて、何が本当のことなんだろうと迷い、惑い、不安になりますよね。ただ、一つたしかなのはどの情報も一般化できないということです。ぼくが留学する目的は、あなたが留学する目的とは全く違う。だから、「経験者」の言うことはあてになるようでならない。でも、今日はあえて「経験者」の一人として、大学院留学に関して飛び交う情報を考えてみます。

まず、ぼくの立場を言わないとですね。ぼくの一番の目的は、自分の価値観の通じないところで悶え苦しむこと。だからぼくにとって、大学院留学は「目的」ではなく「手段」です。大学院留学が自分のキャリアにつながるかとか、この学校のこの先生の下で学ぶ、とかはあまり重要じゃない。あと、ぼくは日本の学部卒業後、就職せず渡英して社会科学のSocial Policyという分野を専攻した人間です(アメリカやオーストラリア、理系やアート系の修士については全く分からない)。そんな大前提のもとに話します。


留学エージェントは必要か
必要じゃない。たしかに、セミナーや留学フェアみたいなものはタダで参加する分には損はないです。でもお金を払って何から何までやってもらうというのは正直意味が分かりません。なぜなら、その部分こそ未知なる世界に踏み出す第一歩だからです。語弊はありますが、出願を自分一人でできないならば留学などしない方がよろしい、と思っちゃいます。英語のサイトを読み、自分でスケジュールを組み立て、自分で責任を取る。こんな貴重な経験をお金を払って人にやらせるなんて、とんでもない!

国から絞ってもいい
なんとなく行きたい国ってありますよね。北欧、カナダ、フランスとか。そこから始まっていいんです。だって行きたいんだから。可能性を制限することになるけど、何かしら制限しなきゃ大学院なんて星の数ほどあるんだから。まずは直観的に始めていいと思います。

英語力がなければ諦めたほうがいい
当たり前のことです。英語ができない人に大学院を勧めるのはかなり疑問。だって、大学院留学べらぼうに高いんですよ。そこに英語ができない状態で行ってそれがその人のためになりますかね。ワーホリとか語学学校とかならまだしも。ただ、もう少し根本的なことを言うと、英語が話せるかどうか以上に、留学して英語を向上させる気合と術を持っているかという点が重要です。ぼくが大学の採用担当だったら、「英語が多少話せなくても、語学の問題は自分でなんとかしながら学術的な貢献に力を注ぐ人間」を期待します。いずれにしても、英語は必須であり、どこまでも貪欲であること。これが大切だと思います。

新卒大学院留学のリスク VS 新卒大学院留学の意義
これは大きな議論の一つですね。この点こそ「経験者」の話が最も当てにならない場合が多い。なぜなら、みんな自分の主観的な話をサクセスストーリーか失敗談かにして話しがちだから。結論を言えば、リスクも意義も両方あり、どれを優先させるかという話です。リスク、たくさんありますよ。新卒採用のチャンスを失う、金がかかる、社会科学の修士号は日本じゃ役に立たない、貴重な若いときに働きもせず勉強する、などなど。リスクを違う視点で見ればメリットになる。今就職しても海外に行きたいという思いはきっとなくならない、後で行った方がもっとコストがかかる、日本で社会科学があまり発展してないからこそ取る意義がある、貴重な若い時だからこそ違った環境でいろいろ吸収できる。
優先順位は一人ひとり違う。だから、自分で何を捨て何を取るかを考え決断するしかないんです。

一度社会に出てから行くべき
正直、そう思う瞬間もあります。たとえば、Illegal Drug Policyという薬物規制政策の授業を受けていると、そういう分野で働いていた人はいろんな知識を持っていてスムーズに議論をしています。ぼくは何も知らないから、Cannabis(大麻)とかMethamphetamine(覚せい剤)など薬物の名前を調べ効能の違いを把握するだけで一苦労。Social Policyという分野では、現場がどうなっているかというのがとても重要です。若いが故の知識や経験の限界は時々感じますし、働いてから来ればもっと深められたかもなあと思うこともあります。
でもまっさらだからこそ、恥も知らずにいろいろぶっこんだりすることもできます。ある意味フラットに考えられる。若いからプライドもない。40歳になって留学して知識なかったり英語ができないと自分でも苦しくなりそうだけど、若いと「できなくて当たり前じゃんオッケー♪」だから楽。

GPAの重要性
GPAは計算方法でどうにでもなるからオッケーというのは、安易な考え方です。大学の成績は自分が「やったこと」の一つなわけだから、ちゃんと説明できなきゃいけない。自分の計算方法がどういうふうに妥当なのか、なぜ成績があまりよくないのか。特にもう既卒で成績が自力で変えられない人にとって、そういう説明(justification)は非常に大事です。
成績悪いけどまだどうにかなる人は、残りの科目全て最高の評点(A⁺なりSなり)を取るよう全力を尽くす。ぼくは大学3年の後期からめちゃくちゃがんばりました。これは勝手な予想ですが、日本の大学で満足に成績取れない人がイギリス行って世界のガリ勉を相手に生き残れるとは到底思えない。

考える続ける忍耐力
ぼくの修士生活は、ひたすら考える作業。ともかく知識を増やし、それに基づき考える。毎日毎日考える。それが1年続く。しかも高額なお金を払ってわざわざ自分からやる。コイツバカだな、と思います。「なんか楽しそう」で来てもやっていけるけど、実際楽しむ余裕がないときもある。くそうんこーって叫びたいときある。寝る前に「おれ何やってんだろう」とふと思うときある。でも、来なきゃよかったと思うときは意外とないです。

以上、けっこう批判的に書きましたが、冒頭の「大学院留学8つの間違い」は実はけっこう参考になる情報が多く、バランスよく書かれていると思います。
「海外に住んでみたい」という自分の純粋な気持ちを大事にしながら、いろいろな要素一つひとつじっくり考えて決めればいいと思います。考えぬいた結果として留学したならば、辛くてもあきらめがつくってもんですよ。
と、余計に不安をあおり立てたところで、今日はおしまいです。


とっても申し訳ないのですが、当ブログに書いてある内容によって生じた問題などについて、書いている人は何一つ責任を果たせません。
寛大な御心とご自身の判断力をもってお読みいただければ幸いです。