フリーター、イギリスへ行く

イギリス/大学院留学/LSE/Social Policy

Communism Tourに行ってみた

童顔なので旅行の際はヒゲを伸ばす作戦です。ちよわかまるです。

先日までポーランドに行ってたんですが、そこで「共産主義ツアー」なるものに参加してきました。結論から言いますと、すごい面白かった。

朝、トラバントというイカした車で迎えに来てくれたガイドのオレック君。ポーランド訛りなのか、ものすごく勢いのある早い英語を話す。
「ギアが壊れてて1と2と4しか入らないんだ」
「数日前はブレーキが壊れちゃって1時間半ハンドブレーキだけで走ったよ(笑)」
など車のエンジン同様オレックトークも全開。ブレーキが故障?ご冗談を。まだ死にたくないからね。

その数日前。
地球の歩き方のすみっこに書いてあった「共産主義ツアー」を見て、ん?と反応してしまった。絶景を見ても心ひとつ動かない僕ですが、共産主義、ユダヤ教、クルド人などと聞くと少し血が騒ぎます。ツアーを運営しているのはCrazy Guideという団体。ウェブページにいろいろ詳細が書いてある。
“Your guide is not a historian. He's your laid-back driver & friend showing you Krakow through his eyes.”
(ガイドは歴史家ではありません。親しみやすい運転手兼友達で、彼の目から見たクラクフをご案内します)
ポーランドについてなーんも知らないぼくにはちょうどいいじゃない、と思いクレイジーに予約したわけです。

予想通りのクレイジーとアドヴェンチャーを味わいながら、トラバントはクラクフのNowa Hutaという場所に到着した。Nowa Hutaは社会主義的な思想に基づいて開発された町だそうで。これがね非常に興味深い。町がいくつかのセクションに分かれていて(オレックはStateと表現していた)、それぞれのセクションに学校や病院などの必要な機能がそろっているんだとか。はい、どこかを思い出しますね。そう、イスラエルのキブツです。自給自足・共同生活を前提にした本当のコミュニティー。Nowa Hutaの場合は、非常にきれいに区画整備されているのが印象的です。まあでも今では、レーニンかなんかの銅像は取り除かれ、逆に米大統領レーガンの名前が通りにつけられるなど、完全に脱社会主義ですが。

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(扇形に広がる町が大通りで4区画に区切られている。一番右の三角形っぽいとこからセクション1で反時計回りに2、3、4と続く)

次に、当時から今まで稼働している工場にも行きました。この工場が実に巨大。工場労働にはとても価値が置かれていたようで、“Second religion”と位置付けられていたんだって。町の名前Nowa Hutaは英語でNew Mill、つまり「新しい製鋼工場」です。“新しい”というのは、それまでとは異なる「革新的な都市生活」みたいな意味が込められたんだとさ。

じゃあFirst religionってなによ?となるわけですが、キリスト教カトリックみたいです。でも宗教と社会主義というのはあまり相性がよろしくないようで、Nowa Hutaには典型的な教会は見られません。当時の住民たちは教会を作りたかったらしんですが、政府の支援は得られなかった。そこで自分たちで10年かけてつくっちゃった。それが、Arc of the Lordというものすごい変わった教会。Arcというのは箱舟という意味で、社会主義の支配・抑圧から逃れるという意味もあった。さらに、この教会は建築物としてすごいいい。とても複雑なつくりをしている。オレックの言う通り現代アートというかんじです。

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(教会とは思えない外観)

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(分かりにくいけど教会内部の天井。木でできた屋根が箱舟感を演出。その隣には謎のごつごつがある)

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(イエス様でしょうか?少しお腰をおひねりになられている)


そんなかんじのちょーディープなツアーでした。観光地巡りとは一味も二味も違う側面が見られた気がします。ポーランドに行く際は、Crazy Guideを利用してみるといいのでは。
ではまた。


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