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イギリス/大学院留学/LSE/Social Policy

貧困ってなんだー!(壱)

ども、ちよわかわまるです。
実はねー風邪がこじれてもう大変でしたよ。痰と咳と鼻水のトリプルパンチ。図書館にトイレットペーパーまるごと持参して鼻かむのはちょっと恥ずかしかったですね。今回は、快気祝いスペシャルでお送りします。

今まではお勉強の話というよりも、出願とか渡航準備の話が多かったですね。そういう話も情報として大事だと思うのですが、そろそろ学術的な話が出てきたりしてみてもいい頃合いなのではないか、と。
そう、世に言う啓発系ブログですよ。わーいい響き!(*゚▽゚*)ワクワク
ね、こーんな慣れない顔文字なんて使ってみたりして。だいじょうぶか、ちよわかまる、まあ仕方ないちょっと見てやるか、くらいの気持ちで読んでいただければうれしいです。


で、やはりSocial Policyの超重要キーワードといえば、、、
Poverty
(発音:パゥヴァティ 意味:貧乏、貧困、貧窮)
です。
失くしたい消えろ消えろ消えろ、と思ってもずっとあるやーつ。まあね、一番帰ってほしい人に限って最後まで居座るものですからねえ。
とにもかくにも、この「貧困とは何か」というスケール大きめの問いに立ち向かっていけたらいいなあ、という感じです。弱気です。

議論としてはこんなかんじで広がっております。
Concept of poverty:そもそも貧困って何だと思う?直観的でもいいからさ。
   ↓
Definition of poverty:どうやって定義する?
   ↓
Masurement of poverty:どうやって測定する?実際のとこ何人いる?


イギリスではすっげー貧困について研究されていましてですね。抽象的なとこに始まり、研究・政策で必要となる定義のお話、そしていろんな方法で貧困層の数値を測る。たとえば、絶対的貧困と相対的貧困なんてのは一つの定義であり、それに基づいた数値が出てきますね。まあ相対的貧困とかwikiを読めばわかるようなつまらん話はとりあえずあっちにおいといて。

今日は手始めに、貧困の原因について掘り下げてみます。
はいここで問題!じゃらーらんっ!!
貧困の原因は・・・
A. 個人にある
B. 社会構造にある

シンキングタイムスタート!
エイヤ、サッサ、ハイサイおじさん、ハイサイおじさん、ゆうびぬさんごうびんしのことんなあーのことなフフーンフフンフフフフーン・・・


正解は・・・
C. 両方にある(と思う)


すみません。みなさんの貴重なお時間を。
ただですね、ここ重要なんです。貧困の原因をどのように理解するかによって、実際に政策の雰囲気が変わっちゃうのです。こっから本日もっとも啓発度が高いと思われる部分に突入します!

Agency Structure
貧困の原因を説明する上で、最も頻繁に用いられる二つの枠組みです。
まずAgency。なにそれ?マトリックスのグラサンの人?代理店のこと?違います。Ruth ListerさんのPoverty(2004)によれば、
"individuals as autonomous, purposive and creative actors, capable of a degree of choice"
とあります。つまり、自由な選択と自己責任に支えられた個人のことです。Agency=主体的な個人ってかんじですかね。こりゃ当然のように思えますが、なかなか厳しいでっせ。貧困は個人の選択の結果なんだから自分のケツは自分で拭けよってことだからね。政策のレベルでは、国は一見何もしない(自由主義的)ように思えます。でも実際は逆。貧しい人たちの行動や道徳を改善して"正しい"選択をさせよう!というお節介な国家になりがち。ともすれば、「生活レベルや民度が低い人たち」とレッテルを張り、貧しい人々自身を批判することにもつながりかねない。

えーそりゃないよー。いくらがんばっても貧困から抜け出せない、格差が大きすぎるんだよー。と思ったみなさん。ご安心を。Structureの視点は、一個人の意志ではどうしようもできない環境や構造(経済発展とか労働市場とか)、それこそが貧困の要因だと主張します。政策の主眼は、個人の行動云々ではなく、システムや社会構造を変えることに向けられます。いざ、収入格差是正!教育の充実!雇用の保障!

ぼくは貧困の原因を理解する上では両方あるな、と思ってるんです。たとえば、こんなホームレスの人がいました。ちょっと仕事が好きになれなくて辞めて、家族ともあんまりうまくいかなくて、東京に出てきて働こうとしたけど思ってたほど職がなくて・・・。
たしかに自分の選択でホームレスになってしまった部分は無きにしも非ず。ただね、やる気さえあればまた仕事を見つけてやっていけるような仕組みがちゃんと整っているかといえば・・・NOです。それじゃあ仕組みだけ十分に整えればいいのか、といえばそうでもないのが難しいところ。いくら環境を変えても、個人が決断して一歩踏み出さない限り、状況ってなかなか変わらないものです。実際、このホームレスの人はBIG ISSUEという雑誌を売ること(を選択すること)で、自立した生活を獲得しました。

これ別にホームレスに限りませんよね。ぼく自身のことを考えても、今イギリスにいるのが100%自分の選択と努力によってかといえば、そんなことはまるでない。いろんな偶然と環境にも左右されていると直観的に思います。
だから、AgencyとStructureのバランスの問題だし、お互い複雑に絡み合ってると思うんですよねえ。研究者たちの議論も、二つのどちらかではなく、二つのバランスをどう取るかが主流になっているようです。


こっちで勉強してAgencyとStructureの議論を聞いたときは、興奮しましたね。そう、そうなんだよ!自己責任と社会構造のジレンマだと思うっ!!てなかんじで。社会学とか勉強している人は、こういう議論は知ってて当然なんでしょうか?あらやだ恥ずかしい。穴がなくても掘って入りたい。

ということで、今後も貧困についてちょいちょい書いていきますよー(*´艸`*)
この顔文字はどういう感情を表してんだろうか。鼻ほじってんのかな。


貧困ってなんだー!(弐) につづく


とっても申し訳ないのですが、当ブログに書いてある内容によって生じた問題などについて、書いている人は何一つ責任を果たせません。
寛大な御心とご自身の判断力をもってお読みいただければ幸いです。